東京大学の渡辺努教授らが2013年5月からホームページで公開している日次物価指数(1989年まで遡及可能)。正式名は「東大渡辺研究室・日経日次物価指数」。全国のスーパー約300店舗における食料品(生鮮食品を除く)や日用品など20万点を超える商品の日々の販売価格および数量に関するPOS(販売時点情報管理)データを用いて、購買取引の翌々日までに物価指数を計算し公開している。日経・東大日次物価指数は、総務省が作成している消費者物価指数と比較すると、売れ筋商品をその都度捕捉し、それを指数作成のウエートに反映させることにより、(1)消費の実態に近い高精度の物価指数である(消費者物価指数では、各商品のウエートが5年に1度しか改訂されない)、(2)日次指数であり、物価動向を把握し将来を予測する上での迅速な統計指標である(消費者物価指数は、ある月の物価を翌月末に公表する月次指数である)、などの特徴を備えている。日経・東大日次物価指数の上昇率は、消費者物価指数の上昇率とほぼ同様の動きをしているが、詳細にみると前者は後者よりも約0.5%低めである。これは、価格が低下している商品ほど販売量が多くなり、日経・東大日次物価指数では指数作成上のウエートが大きくなることを反映しているとみられる。