元来は機械・電気製品などで負荷(ストレス)を与えて製品の耐久性を調べる手法のこと。金融面では、金融市場における大幅な価格変動など一定のリスク・シナリオを想定して、その場合に生じる金融機関の損失額を推計し、対処策をあらかじめ講じておくリスク管理手法を意味する。リーマン・ショック後の2009年にアメリカの金融監督当局が、大手金融機関19社を対象にして一定のリスク・シナリオの下での自己資本不足額を推計した上で資本増強を促す金融検査を行い、これをストレステストと称したことから一般的な金融用語として知られるようになった。日本銀行も毎回の「金融システムレポート」の中で、金融システムのストレス耐性を調べる「マクロ・ストレステスト」を実施している。例えば、14年10月には、(1)海外経済や金融資本市場にリーマン・ショック時なみの大きなストレスが生じる景気後退シナリオと (2)国内の長期金利が2%ポイント程度上昇する金利上昇シナリオの下での、金融機関の自己資本への影響度合いを調べ、日本の金融システムは相応に強いリスク耐性を備えているとしている。もっとも、同レポートでは、多大な金利リスクを抱えている日本銀行自身についてのストレステストは実施されていない。