国が過半の株式を保有する日本郵政グループ(→「日本郵政株上場」)のゆうちょ銀行への預入限度額とかんぽ生命保険への加入限度額のこと。政府の郵政民営化委員会(委員長は増田寛也元総務相)は、2015年12月25日にとりまとめた報告書で、ゆうちょ銀行の預入限度額を従来の1000万円から1300万円に、かんぽ生命保険の加入限度額についても従来の1300万円から2000万円にそれぞれ引き上げることを認めた。同報告書を受けて、総務省と金融庁は必要な政令改正を行い、16年4月からゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険の限度額引き上げを実施する見込みである。ゆうちょ銀行は1991年以来25年ぶり、かんぽ生命保険は1986年以来30年ぶりの限度額引き上げとなる。自民党は、2015年6月時点でゆうちょ銀行の預入限度額を2年後までに3000万円に段階的に引き上げるべき、また、かんぽ生命保険の加入限度額については、同年9月までに2000万円に引き上げるべきとの提言をまとめており、ゆうちょ銀行の預入限度額については今後の政治情勢絡みで再度の引き上げの可能性がある。限度額引き上げはゆうちょ銀行の肥大化を招いて民間金融機関との競合激化が懸念される一方、過疎地でのサービス提供や地方創成の観点からゆうちょ銀行との提携に踏み切る地域金融機関も見られるなど、ゆうちょ問題は複雑化の様相を呈している。