2015年10月に全面稼働を開始した新しい日本銀行ネットワークシステム(略称日銀ネット)。日銀にある当座預金口座を通じて金融機関同士が資金や国債の決済を行う日銀ネットは、1998年の稼働開始以来、日本の基幹的な金融インフラとして機能してきたが、近年における金融取引のグローバル化や決済のネットワーク化という形での環境変化に対応すべく、日本銀行は汎用性の高い最新の技術を取り込んで、今後起こりうる金融サービスの変化に柔軟に対応できる新システムを構築した。例えば、国際的に広く用いられているデータ記述用の言語であるXML電文や国際銀行識別コードBIC等の採用を通じて内外の決済システムや金融機関の接続性を向上させるなど、アクセス利便性の向上が図られている。新日銀ネットは、まず2014年1月に金融市場調節(→「金融調節」)と国債の入札関連業務などを先行して稼働した後、15年10月に残りの当座預金取引、国債決済などについても稼働開始に至ったものである。日本銀行は、16年2月には新日銀ネットの稼働終了時刻を従来の19時から21時に延長する方針であり、これによってアジアやヨーロッパなど海外市場との決済時間帯のオーバーラップが拡大し、国境をまたいだ迅速な決済に資すると期待される。