各国中央銀行が発行の可能性を検討しつつあるデジタル通貨(→「貨幣」)。ビットコインなどの非中央集権型の仮想通貨が、近い将来において民間の決済手段として本格的に普及する可能性があることから、中央銀行として予めどう備えておくのかという意味合いがある。既存の銀行券や硬貨をデジタル化したものとしての「リテール決済用」の例としては、ウルグアイ中央銀行が2017年11月に発行したe ペソが挙げられる。スウェーデンのリクスバンクも、カードやスマートフォンに保存できるe クローナ発行の可否を18年末までに決める予定である。また、中央銀行当座預金を新たな中央銀行債務に置き換えた上でブロックチェーン(分散型台帳技術)を応用する「ホールセール用」の例としては、シンガポール通貨庁が、民間銀行による預託金見合いで発行されたデジタル通貨を分散型の大口決済システムに利用することを現在検討中である。日本銀行も欧州中央銀行と共同で、資金決済システムへの分散型台帳技術の応用可能性について検討を進めている。