企業が保有する資産の収益性が悪化し、投資額の回収が見込めない場合に行われる会計処理。例えば、工場や土地といった事業用資産の価値が貸借対照表の簿価を下回った場合、その差額を損失処理する。2004年3月期決算から任意適用が始まり、06年3月期決算から全上場企業を対象とした強制適用へと移行した。実際に任意適用を実施した企業は延べ588社あり、その損失額の合計は約3兆311億円に及んだ。早期に適用することで財務体質の健全性をアピールしたり、経営の機動性を高めたりするねらいがある。減損による損失計上を回避するためには、事業の収益性を厳しく管理し、自社が保有する資産の価値を常に高めておくことが重要になる。なお日本の減損会計は、いったん減損損失を計上した場合、減損の戻し入れは行われない。