特定の目的を達成するために、事業体の活動内容を制限して設立される会社。特別目的会社は特別目的事業体(special purpose entity SPE)の一種である。SPEには会社型、パートナーシップ型、信託型などの形態が存在する。会社型のSPEを特別目的会社(SPC)という。SPCはおもに、債権や不動産の流動化において、資産を特定企業から法的に隔離して証券を発行するために用いられる。SPCを活用した証券化には、(1)資産の収益獲得能力に応じた資金調達が可能となる、(2)複数の投資家の出資が設定可能なため、大型物件等の流動化が可能となる、(3)証券化によるビジネスチャンスが生まれる、などのメリットがある。その半面、資産や負債が不必要にオフバランスされれば、企業実態の適正な開示が妨げられる恐れもある。アメリカでは、エンロンの会計不正にSPCが用いられたことから、SPCに関する会計ルールが厳格化している。日本でも、ライブドアや日興コーディアルの不正会計問題にSPCが用いられた。このような流れを受け、企業会計基準委員会(ASBJ)は2007年3月にSPCの開示に関する指針である、「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」を公表している。また、09年2月には会計基準の国際的なコンバージェンスを背景として「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」が公表されている。その後、11年3月に「連結財務諸表に関する会計基準」が改正され、SPCに関する会計ルールが変更されている。