新株予約権とは株式会社に対して行使することにより、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう(会社法第2条)。また新株予約権を付した社債を新株予約権付き社債という。新株予約権の保有者は、権利を行使することで事前に取り決められた行使価額で会社に株式の発行を求めることができる。株式の市場価格が行使価額を上回っている時に権利を行使すれば、新株予約権の保有者は市場で当該株式を購入するよりも安価で入手することができる。なお近年では、ブルドックソースの事例のように、第三者割当の新株予約権を発行して敵対的買収者の出資比率を相対的に低下させるなど、買収防衛策の一手段として用いられることがある。また従来は基本的に貸借対照表の負債の部に計上されていた項目であるが、現在は純資産の部に計上されている。2011年1月に金融庁の開示制度ワーキング・グループはすべての既存の株主に新株予約権を無償で割り当てる増資手法ライツ・イシューの制度見直し案を取りまとめた。ライツ・イシューはこれまで国内で1例しか行われてこなかったが、同案の目指す事務処理の簡素化や換金手段の多様化によって、現実的な増資手段の一つとなることが期待されている。