公開企業が、自社に仕掛けられた敵対的買収に対して採る対抗措置のこと。公開企業は株式を市場で自由に取引するため、常に敵対的買収の危険にさらされている。1980年代のアメリカでは、ジャンクボンドやLBOを利用した敵対的買収が横行し、それに対抗するために企業は様々な買収防衛策を導入した。この買収防衛策には、ポイズンピルやゴールデンパラシュートなどの買収前に買収を思いとどまらせる平時の買収防衛策と、ホワイトナイトやパックマン・ディフェンスなどの買収開始後に防衛する有事の買収防衛策の2種類がある。企業が買収防衛策を導入することの是非については、賛成派と反対派で意見がわかれている。賛成派は、敵対的買収の中に、グリーンメーラー(→「グリーンメール」)など企業価値の毀損につながるようなものが存在することから、企業は買収防衛策を導入すべきだと主張する。これに対し、買収防衛策を認めると、経営陣は自己保身のために過剰防衛を行い、企業価値が失われる恐れがあるというのが否定派の主な主張である。会社法の施行によって、日本でもポイズンピルなどの買収防衛策がこれまでよりも機動的に導入できるようになった。しかし、制度上可能になったからといって、株主が買収防衛策の導入に賛成するとは限らない。たとえば、東京エレクトロン、横河電機、ファナックの3社は、2005年の株主総会において授権資本枠(定款で定められる、企業が発行することのできる株式の数。その範囲内であれば、企業は随時、取締役会の決議のみで株式を発行することができる)の拡大を提案したが否決された。