アメリカの連邦法人税率を35%から21%に引き下げることを柱とする大型減税で、2017年12月に成立した。レーガン政権による1986年の減税以来の抜本的な税制改革で、減税の規模は10年間で1兆5000億ドル(約166兆円)と、過去最大となった。大統領選の公約で15%への税率の引き下げを掲げていたドナルド・トランプ大統領にとって、初めての大型公約の実現となった。地方と合わせた法人税率は28%程度と、日本やドイツなどの主要国よりも低い税率となった。企業の海外子会社からの配当課税も廃止し、多国籍企業などが海外にため込んでいる余剰資金をアメリカ国内に引き寄せることを狙う。また、5年間の時限措置で設備投資全額を課税所得から控除できる「即時償却」を認め、企業の投資を促す。個人所得税も軽減し、最高税率を39.6%から37%へと引き下げた。もっとも、中低所得層への恩恵は乏しく、個人減税の多くは8年間の時限措置となる。一方、トランプ減税により、アメリカの財政赤字は10年間で1兆ドル強増える見込みで、中期的にアメリカの長期金利の上昇要因となるリスクがある。