企業には将来の税負担軽減が見込める場合、例えば、ある決算期に大幅な赤字を出した企業は、翌期以降に利益を計上しても、税法上、その利益と過去の赤字を相殺できるので、利益に見合った税金を支払わなくてもよい。その税負担の軽減が期待出来る金額を資産とみなして、貸借対照表(バランスシート)に計上するその資産のこと。繰り延べ税金資産は将来、利益が期待通りに出ることを前提に計上する。しかし、景気低迷などで利益を出せる見通しが立たなくなると、将来、税金が軽減される効果も無くなってしまう。こうした場合には繰り延べ税金資産を取り崩して、その分を損失に計上しなければならない。企業の収益環境が悪化し業績見通しが悪くなると、株式市場ではその企業が計上している繰り延べ税金資産の金額に注目し、取り崩しに伴う損失の発生を警戒することが多い。