会社が自社の発行した株式(自己株式)を自らの計算で取得すること。1994年の商法改正前までは、資本充実の原則に反する、株主間の公平性を損なう、といった理由から厳しく禁じられていた。しかし、企業財務の多様化やストック・オプションの活用を図るといった観点から次第に規制が緩められ、2001年の商法改正では、取得目的をあらかじめ限定しない自己株式の取得が可能となった。いわゆる金庫株(treasury stock)である。金庫株は、無期限かつ数量に制限なく保有できるほか、新株発行手続きをとりながら放出したり、消却したりすることができる。金庫株制度は、企業の財務戦略を柔軟にするが、自己株式の取得や処分の際にインサイダー取引や相場操縦が行われる危険もある。このため、不公正取引禁止ルールも整備された。最近では、株主資本利益率(ROE)の向上を図るねらいから自己株式の取得を積極的に進める企業が増加しており、取得額が新株発行額を上回ることもある。