上場企業の株価に影響を与える重要な情報を、一般に公表されていない段階で入手した会社関係者(内部者、インサイダー)が、その情報に基づいて行う証券取引。金融商品取引法166条以下で禁止されており、違反者には刑事罰が科される。2004年6月の法改正で導入された課徴金制度の対象でもある。インサイダー取引が禁止されるのは、会社の関係者だけが利益を上げたり損失を回避したりするのでは、一般の投資家が不公平感を抱き、取引をやめてしまうことで、市場の衰退につながる恐れがあるからである。同じ趣旨からTOBや5%以上の株式買い集めが行われることを知りながら、その情報に基づいて取引を行うことも禁じられる。村上ファンド事件では、この規定への違反が問題となった。もちろん、重要情報を得やすい会社役員等による株式取引が全面的に禁止されるわけではなく、未公表の重要情報に基づかない限りは、特段の問題もない。