東京証券取引所(東証)が、株主・投資家の保護や公正な市場運営といった観点から、上場企業の企業行動に適切な対応を求める事項を取りまとめたルール。2007年6月、制定へ向けた要綱が公表された。従来、日本の取引所は、市場の監視や上場審査に加えて、会員(株式会社組織の場合は取引参加者)である証券会社に対する監督などの自主規制機能を担ってきた。これに対して、上場企業の企業行動は基本的に自由であるとし、できるだけ干渉しない方針をとってきた。しかし、05年に制定された会社法は、旧商法とは異なり、定款自治の拡大を前面に出したため、企業が従来にない株主政策や資本政策を採用する余地が生まれている。もっとも、会社法による自由化は、主として非公開企業を念頭に置いたものであり、不特定多数の投資家が株主となり得る上場企業は、一定のルールに服すべきとの考え方もあり得る。東証が企業行動規範の制定に乗り出したのも、そのためである。具体的な内容としては、買収防衛策や株式分割の指針などが盛り込まれ、今後拡充される見通しである。