上場会社が、企業価値の毀損につながるような敵対的買収を阻止するために導入する仕組み。信託を活用した、いわゆるポイズンピルのほか、あらかじめ、敵対的買収者が自らの提案が企業価値の向上につながることを十分に説明できない場合には第三者割当や新株予約券の発行など、買収者の議決権を希薄化させるための対抗手段を講じることを明らかにしておく事前警告型の防衛策が多くの企業によって採用されている。買収防衛策のねらいは、買収者側に必要な情報を提供させることで株主が合理的な判断を下すことを可能にするとともに、十分な熟慮期間を与えることであるとされる。とはいえ、防衛策を発動するかどうかの判断が取締役会に委ねられ、その取締役会の構成員のほとんどが社内出身者であるといった状況の下では、企業価値を向上させる買収提案が拒否されるなど、経営陣の保身に用いられるリスクもある。2007年6月には、ブルドックソースが、株主総会の特別決議でアメリカ系の投資ファンドであるスティール・パートナーズとその関係者を対象とする買収防衛策の発動を決定し、注目を集めた。