発行会社の株価の推移に応じて転換価額が変動する転換社債(CB)。正式には、転換価額修正条項付き転換社債型新株予約権付き社債とよばれる。通常のCBでは投資家は株価下落時に転換権を行使すると、時価よりも高い値段で株式を取得せざるを得なくなる。MSCBを用いればこのリスクを回避することができるため、資金調達が円滑に行える。現時点では株価が低迷して有利な株式発行が行えないが、長期的に業績向上の見込める企業の資金調達に適した手段である。しかし、一部の証券会社が、引き受けたMSCBをヘッジファンドに売却し、ファンド側は、大規模な空売りを行って発行会社の株価を下落させ、転換によって入手できる株式の数を増やそうとするといった不公正な取引に悪用されることも少なくない。2007年10月には、東京証券取引所が、月間の転換権行使によって得られる株式数が発行済み株式数の10%を超えるMSCBの発行を行わないよう求める企業行動規範を制定した。