梃子(てこ=レバレッジ)になぞらえて、収益を狙うにあたり、自己資本だけでなく主に借り入れで調達した資本(他人資本)も合わせて利用する戦略のことをこうよぶ。企業財務上のレバレッジの状態を示す指標としてはD/Eレシオ(debt equity ratio 負債÷自己資本)があり、D/Eレシオを高めて自己資本利益率(ROE return on equity 純利益÷自己資本)を引き上げることをレバレッジ効果とよぶ。ただし、サブプライム問題で言及される金融機関のレバレッジとは、金融機関の「総資産÷自己資本」の比率をさすことが多い。アメリカの大手証券会社は近年、規制緩和や競争激化に起因する伝統的業務(委託売買や引き受け、資産運用)の収益性低下などを受け、保有資産を担保にした借入資金などを元手に、自己勘定取引で収益を上げるビジネスモデルを拡大してきた。とくに2004年ごろより一層のROE向上を狙い、レバレッジ比率を急激に高め(07年末に大手5社のうち4社が30倍以上)、サブプライム住宅ローン関連の証券化商品の組成と販売、自己勘定取引などに注力したが、サブプライム問題の発生で高レバレッジ比率が逆に裏目に出て、多額の損失計上や流動性確保への悪影響に直面し、リーマン・ブラザーズは経営破綻し、メリルリンチとベアー・スターンズは他社に救済買収されるに至った。