資金の貸し手がローンのリスクを、証券・資本市場を通じて広く投資家に移転・分散させる金融ビジネスモデルのこと。その典型例が、金融機関が専ら証券化することを目的にローンの貸し出し(組成)を行い、さらにその証券化商品を投資家に販売・転売することで、金融機関が自らのバランスシートにリスクを抱え込まず、資本を効率的に活用しながら収益を追求するローンの証券化ビジネス。OTDは「originate(組成) to distribute(販売・転売)」の略。一方、金融機関がローンをそのままバランスシートに保有し続ける伝統的な貸し出しのことをOTH型モデルとよぶ。OTHは「originate to hold(保有)」の略。1970年代以降、ベビーブーマーの住宅保有ニーズ拡大、クレジットカードの普及や不良債権問題の経験などから、アメリカの金融機関はローンビジネスにおいてOTH型モデルよりもOTD型モデルを活発化させ、とくに、2001年以降の低金利、および不動産価格の上昇局面の中、サブプライムを含む住宅ローンの証券化ビジネスを急激に拡大させた。しかし、OTD型モデルに内在する貸出審査がずさんとなりがちになる傾向の顕現化や、その歯止めとなるべき格付け機関も含めたOTD型モデルへの参加者における規律の弛緩(しかん)化などから、不動産価格が下落し始めると、住宅ローンの延滞率が急上昇し、その影響が広く投資家に波及することとなり、リスクを分散させるOTD型モデルのメリットが逆に裏目に出てしまったことが、サブプライム問題の主因の一つである。