事業会社が取引先の金融機関や他の事業会社とで相互に株式を保有し合う、日本特有のコーポレート・ガバナンス慣行の一つ。戦後の財閥解体や1960年代の資本自由化などを契機に80代まで株式持ち合いは拡大したが、90年代の株価長期低迷で金融機関や事業会社が保有株式の評価損計上を迫られたこと、とくに金融機関が不良債権問題や自己資本比率規制などへの対応で株式保有力を大幅に低下させたため、株式持ち合いの解消が進んだ。2006年以降はアクティビストファンド台頭への対策などで、事業会社同士による株式持ち合いが一部再強化されつつあったが、今後は11年3月から開示義務化される国際会計基準である国際財務報告基準(IFRS)の包括利益で持ち合い株式の評価損益が毎期計上され、株式売却による「益出し」ができなくなること、金融審議会が09年6月に株式持ち合い解消を促す必要性について報告を行ったこと、G20による金融機関規制強化が実施されると金融機関の株式保有力が一層低下すること、などから株式持ち合いの解消が改めて進むと予想される。日本の金融機関や事業会社は新たな理解ある株主を見いださざるを得ない、すなわち自社株式の魅力を一層高めざるを得なくなっている。