オルタナティブ資産の一種であり、2009年末で約1.6兆ドルの運用資産があるとされる。一般に特定・少数の投資家などから出資を受ける私的な投資組合として設立され、運用会社は成功報酬体系の下で絶対リターン(市場の動向にかかわらないリターン)の獲得を狙う。代表的な投資戦略では、割安と判断する証券を買い(ロング)、同時にほぼ同額の割高と判断する証券を空売り(ショート)して株式市場全体の変動の影響を抑えながら利益を追求する株式マーケット・ニュートラル(equity market neutral)や、証拠金だけで取引できる農産物や貴金属、証券・金利・通貨などの先物・オプションを主な対象に、高いレバレッジ(元手の何倍もの規模で取引すること)を効かせて少額資金で大きな利益を追求するマネージド・フューチャーズ(managed futures)などがある。なお、08年の金融危機の一因にヘッジファンドの投資行動を疑う意見などがあったことなどから、同業界に対する規制強化の議論・作業などがグローバルに進行中である。また、金融危機後にはアメリカのナスダックの元会長による巨額詐欺事件や、大手業者によるインサイダー取引容疑事件など同業界をめぐる不正の摘発が相次ぎ、ヘッジファンド投資には運用リスクのみならず、オペレーショナル・リスク(業務で発生する損失のリスク)の注意・精査が相当必要であることが再認識された。