平均余命の長期化に伴って認識され始めた個人の金融リスクで、一定の資産を現役時代に積み上げても、退職後の長い余命期間に生活費や医療費などにより途中で使い果たしてしまうリスクのこと。アメリカのベビーブーマーが近年、言及するようになったが、日本でも他人事では済まされない。日本の場合、2006年で、65歳の平均余命は男性で約18年(年齢で83歳)、女性で約23年(同88歳)と世界最高水準であり、医療や生命科学の進歩などでさらに上昇する可能性がある。また、日本の公的年金制度は引退世代に支払う年金をその時点での現役世代が負担する賦課方式が基本のため、何人の現役で引退者1人を養うかを示す、引退世代と比較した現役世代の人口が1970年は9.8人、2005年は3.3人、30年(予測)は1.8人と減少し続ける中で制度運営に動揺が生じている。健康保険制度も世代間の相互扶助に基づくので同様である。アメリカの金融サービス業者は長生きリスクにうまく対処できる商品やサービスの開発に積極的に取り組み始めており、ファイナンシャル・プランニングの対象も、現役向けに「いかに蓄えるか」から、退職者向けに「いかに使うか、残すか」がメインになりつつある。日本の金融サービス業界も同様の取り組みが急務である。