日本の公的年金制度の積立金を市場運用する組織のこと。日本の公的年金制度は賦課方式が基本だが、年金財政の安定化を目的に、過去に現役世代から徴集した保険料から高齢世代に給付した年金の差額を積立金にし、GPIFがその大半を、日本国債を中核に国内外の債券や株式で構成されたポートフォリオで運用している。積立金残高は約118兆円(2010年9月末)で、市場運用を行う公的年金積立金運用組織としてのみならず、機関投資家としても、世界最大規模を誇ることから、国内外の専門家や金融機関などから注目を集めることが多く、とくに急速な少子高齢化による年金給付負担の増大と、国債発行残高の対GDP(国内総生産)比が先進国最高水準の財政状況の中で、その運用やガバナンスなどのあり方について再検討すべきではないか、との意見が少なくない。政府も09年11月に厚生労働大臣の下に「GPIFの運営の在り方に関する検討会」を設け、10年12月に検討報告を取りまとめたが、両論併記の論点も少なくなく、また、年金制度や独立行政法人の改革と併せての引き続きの検討をうたうにとどまった。