金融危機の再発防止を目的として、各国の銀行監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会が決めた、金融機関に対する自己資本、流動性、レバレッジなどに関する新規制改革パッケージのこと。最も注目される自己資本比率規制では銀行が破綻して初めて損失を吸収できるゴーンコンサーン・キャピタルよりも、業務を継続しつつ損失を吸収できるゴーイングコンサーン・キャピタルを重視し、その構成要素たるTier1(自己資本の中の基本的項目)とTier2(自己資本の中の補完的項目)では前者、とくにTier1のうち内部留保と普通株式などで構成される普通株式等Tier1(Common Equity Component of Tier I)の水準と質を最重視する。新最低基準は普通株式等Tier1比率4.5%、Tier1比率6.0%、自己資本比率8.0%。さらに自己資本比率規制による景気サイクル増幅効果の軽減を目的に資本保全バッファー2.5%、カウンターシクリカル・バッファー0~2.5%(各国の状況に応じて)が上乗せされた。また、普通株式等TierIの質の厳格化を図ることを目的に、繰り延べ税金資産の参入上限や、無形資産・年金積立不足・資本投資(他の金融機関に対して、持ち合い含む)の控除などを設けた。バーゼル3は2013年1月からの段階的適用が始まるが、銀行の経営戦略に大きな影響を与えよう。