中国本土外(現時点では専ら香港)で発行される人民元建て債券の呼称のこと。ユーロ人民元債とも呼べるが、2010年8月のファストフード大手マクドナルドによる発行を契機に、香港を象徴する「飲茶(ヤムチャ)」で食べる料理「点心(Dim Sum)」に因んで、点心債の方が愛称となった。07~09年は中国本土の政策性銀行(日本の政策金融機関に該当)や国有商業銀行、中国財政部が主たる発行体だったが、10年からは、人民元建て貿易決済の拡大(人民元の国際化の必要条件の一つ)に資するとして、中国本土・香港間の合意に基づき外国企業にも解禁された。11年8月には、李克強副首相がいわゆる香港スピーチで中国本土企業(第1号は宝鋼集団)にも容認するとし、同年の12月8日時点で総額868億元、前年10年の357.6億元の約2.4倍の発行実績となった。日本企業による発行も11年3月のオリックスを皮切りに始まっている。香港で約6000億元以上(11年10月末)に至っている人民元預金の受け皿としても、また、対中直接投資の資金調達手段としても、点心債の発行拡大は今後も続くと考えられる。11年12月発表の日中金融協力パッケージ案は東京市場での発行可能性も視野に入れた。