企業が確定給付型の企業年金を運営する場合、将来にわたって見込まれる、支払いを約束した退職給付(退職一時金や年金)の現在価値の合計であるPBO (Projected Benefit Obligation)を企業会計上で債務として認識する。LDIは、この債務の特性をとくに意識して、企業年金資産の運用を行うアプローチのことをいう。負債指向投資や負債対応投資とも呼ばれる。金利の変動に対して、積立不足(PBOが時価ベースでの年金資産残高を上回る差額)の拡大を回避しつつ、必要な年金資産の投資収益も確保することを主に追求する。LDIは積立不足をめぐる企業会計上の取り扱いが厳しくなった欧米を中心に、2000年代に入って台頭した。LDIのおもな手法としては、金利スワップなどを用いて、年金資産の投資収益の受け取りと退職給付の支払いとのおのおののキャッシュフローを極力マッチングする方法や、長期債券の保有などを通じて年金資産とPBOのおのおののデュレーション(金利変動に対する価値変動の度合い)を極力マッチングする方法がある。日本では、14年3月期の連結決算から、積立不足を貸借対照表に全額反映させるという、厳しい上場企業の新会計基準の適用が始まる。このことから、LDIに対する注目が一層高まろう。