高齢者向け賃貸住宅や有料老人ホーム、リハビリ施設、病院、診療所モールといったヘルスケア施設をもっぱら保有し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配するJ-REITのこと。未曽有の高齢者人口の増加に直面する日本において、不動産証券化手法であるJ-REITの活用を通じて、喫緊の課題になったヘルスケア施設の改修整備と供給拡大のための資金調達が円滑になることが期待されている。ヘルスケアREITの投資は、ヘルスケア施設への底堅い需要があるため、比較的安定的な収益や不景気への強さなどが見込めるとされる。一方で、ヘルスケア施設の運営を担うオペレーターの運用力や信用力などのモニタリング、賃貸借契約での合理的な条件設定、施設にかかわる適切なデューディリジェンス(適正評価手続き)、その前提となる施設にかかわる情報開示などが確保されることが重要とされている。こうした実務的な課題については国土交通省主催の「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」が2013年3月に「取りまとめ」として公表、さらに不動産証券化協会主催の「ヘルスケア施設供給促進のためのREITの活用に関する実務者検討委員会」が同年12月に「中間取りまとめ」を公表した。具体的なヘルスケアREIT上場案件も報道され始めている。