アメリカの金融監督・規制改革法(ドッド・フランク法)で定められた銀行の自己勘定取引を規制するルールのこと。リテール預金を取り扱うすべてのアメリカの銀行は、自己勘定取引(自社の資金を使って市場取引を行うこと)と、ヘッジファンドや不動産ファンド等への出資・融資(スポンサー業務)を原則として禁止される。ポール・ボルカー元米連邦準備理事会(FRB)議長が提唱した。世界金融危機の要因のひとつがアメリカ大手銀行による投機的な自己勘定取引にあり、金融機関の破綻や公的資金を通じた救済が続出したことから、預金者の資金を高リスク取引に利用させないとの理念に基づき導入された。ただし、リスク回避などを目的としたヘッジ取引や、顧客のための仲介取引(マーケットメーク)、アメリカの国債や政府機関債、地方債のほか、外国銀行の(アメリカ国外拠点における)本国国債の取引などは適用対象外となっている。ボルカールールを適用するための最終規則は2014年1月に施行されたが、一定のファンドなどの保有に関しては数年間の順守期限が設けられている。