2010年7月にアメリカで成立した金融規制改革法のこと。オバマ政権下の財務省が主導で作成した法案を、アメリカ議会の下院・金融サービス委員会のフランク委員長と上院・銀行委員会のドッド委員長がイニシアチブを取って議論を進めてきたことから、こう呼ばれる。直訳するとドッド・フランク・ウォール街改革および投資者保護法。システミック・リスクへの対処を最重要課題の一つと位置づけ、マクロ経済全体の健全性を監督し、システミック・リスクを把握・対処する新組織として金融安定監督協議会を設置し、またG-SIFIsとは別にアメリカ独自のSIFIs(Systemically Important Financial Institutions)を今後特定し、通常の金融機関より厳格な規制を適用することを決めた。ボルカー元FRB議長が、預金保険制度で保護された銀行が高リスクの業務を行うべきではないとの考え方に基づき起案した、銀行とその関係会社によるヘッジファンドへの出資や自己勘定での取引を一定範囲へ制限すること(ボルカー・ルール)も含まれた。さらに、1930年代以来の本格的かつ包括的な金融規制改革を図ることから、証券化規制、格付会社規制、店頭デリバティブ規制、ヘッジファンド規制、金融における消費者保護なども強化の対象となった。