金融機関の破綻処理ツールで、金融機関の破綻時、あるいはその可能性が非常に高い状況において、公的資金を使用して救済(ベイルアウト)することなく、当局の判断で株主の権利の償却、および一定の債務を対象とする元本の削減またはエクイティー(株主資本)への転換を講じるもの。従来、金融危機の拡大を防ぎ、金融システムの機能を維持するためにベイルアウトが選択されるケースが多く、それに対して国民等からの批判が大きかったため、納税者の負担を回避することを目的に導入される。倒産法を活用する場合は裁判所を介した厳格な手続きが求められ、また金融機関の経営状態の悪化は金融システムや実体経済への影響も大きいことから、大手金融機関について迅速な対応が可能な制度が必要とされていた。G20サミットにおいてベイルインの仕組みを制度として導入するための議論が行われた結果、ベイルインの実効性を確保するため、FSB(金融安定理事会)の指定するG-SIB(グローバルにシステム上重要な銀行)に対し、平常時から破綻時の損失吸収力の維持を求めるTLAC(総損失吸収能力)が提案されている。