中国人民銀行(People's Bank of China 中央銀行)は2005年7月21日に人民元(renminbi)を米ドルに対して2%切り上げることを発表した。1997年以降、人民元の為替相場は1米ドル8.27~8.28元の水準に固定されていた。これを8.11元に切り上げ、以後は貿易相手国の通貨バスケット(内訳は非公表であるが20通貨とされる)を参考指標とした管理変動相場制に移行した。管理変動相場とは、当局が市場介入により、為替相場の大幅な変動を避けたり、望ましい方向に相場を誘導したりするタイプの変動相場制を意味する。中国人民銀行は毎朝人民元の対ドル基準相場を発表し、これが取引の中心相場になる。人民元の対ドル相場は、この中心相場の上下0.3%以内に制限されてきたが、07年5月21日に上下0.3%から0.5%に拡大した。制度の上では、毎日少しずつ累積的に切り上がったり切り下がったりすることで、人民元相場が大きく変動することも可能である。基準相場は 08年末までに約20%程度切り上げられたが、この間、中国の賃金インフレの進行やアメリカ経済の悪化にともなう輸出不振により、人民元の対ドル相場は弱含みに推移している。