1999年初めに導入された新通貨ユーロを管理し、通貨統合された地域の金融政策を運営するために、98年6月1日に設立されたヨーロッパの新中央銀行で、本部はドイツのフランクフルト。ESCBは、物価安定の維持を第一の目標とした金融政策運営のほか、外国為替市場への介入、加盟国の外貨準備の保有・管理、決済システムの運営などを任務とする。ESCBはECB(European Central Bank 欧州中央銀行)とEU(欧州連合)加盟国中央銀行とから構成される。ECBの最高意思決定機関である政策委員会(Governing Council)は、通貨統合参加国の中央銀行総裁と、ECB総裁、副総裁、4人の理事から構成され、EU各国政府からは高度に独立した地位を持つ。ESCBは99年1月から金融政策運営を開始したが、それに先立ち金融政策の目標として、ユーロ圏内の消費者物価年間上昇率を中期的に0~2%の範囲に維持する目標インフレ率を設定すると発表した。しかし日本のデフレの経験から、0%を目標値の下限にするのは危険であると考えられるようになったため、2003年5月には2%以下ではなく2%の上限を政策目標にすると発表した。