企業や金融機関が、外貨建ての資産や負債全体として、どの程度の大きさの為替変動リスクにさらされているのかを把握するために用いられるのが「為替持高」である。説明を簡単にするために、米ドルと円しかなく、また為替の先物契約(→「先物為替」)などを保有していない場合には、ドル建て資産残高からドル建て負債残高を差し引いた額が為替持高となる。この金額がプラスのときはドルの買い持ち、マイナスのときは売り持ち、そしてゼロのときスクエアとよばれる。ドルが円に対して下落したときには、買い持ちであれば全体として損失を被り、売り持ちであれば利益を得る。そしてスクエアのときは、円ドル相場が変動しても損益は発生しない。言い換えれば、スクエアとは、為替変動リスクを持っていない状態である。為替の先物契約は「実現していない取引」としてバランスシートに計上されないが、この契約は、将来実行する時点で自分に不利になっても、履行する必要がある。このためバランスシート上の外貨建て資産・負債と同様に、為替の先物契約も、ドルの先物売りは負債として、ドルの先物買いは資産として、為替持高に含める必要がある。ドルの先物取引を含めた持高は、直先総合持高あるいは直先総合ポジションとよばれる。この為替の先物契約に関係した為替の持高として、外貨建ての輸出入契約にともなう、外貨の受取債権、支払い債務がある。これは為替の先物契約と同様、為替持高として認識する必要がある。