実質為替レートは、二つの通貨の交換比率である名目為替レート(nominal exchange rate 普通の為替レートのことで、とくに実質為替レートと対比する場合に用いられる用語)を二つの通貨発行国の物価指数で調整することにより、物価水準の変動に対応した為替レートの変動部分を除去したもので、2カ国の貿易財産業(tradable-goods sector 輸出入が可能な財やサービスを生産する産業)の相対的な国際競争力に密接に関係している。円ドル間の実質為替レートは、日本とアメリカの物価指数により、次の式のように円ドル間の名目為替レートを調整したものである。
[円ドル実質為替レート=
円ドル名目為替レート×アメリ
カ物価指数÷日本の物価指数]
ここで、円ドル名目為替レートは1ドルの円価格。日米間のインフレ格差による国際競争力の変化を反映して、円ドル名目為替レートが変化する場合には、この式の左辺である円ドル実質為替レートは不変になる。実質為替レートが一定の場合には、相対的購買力平価説(→「購買力平価」)が成立していることになる。物価指数としては、貿易財産業の生産コストを反映するものを使用することが望ましく、国内企業物価指数、生産者物価指数、GDPデフレーター、製造業の生産物一単位あたりの労働コスト(unit labor cost)などが用いられる。