為替レート変動により、内外の相対価格が変化することによって、輸出や輸入が影響を受ける度合い(弾力性とよばれる)に注目した貿易・サービス収支ないし貿易収支の理論。日本の輸出は、輸出先のアメリカ、アジア諸国などの景気動向や、日本の輸出産業の国際競争力などによって決定される。日本の国際競争力は日本製品の品質、納期などの非価格要因を所与とすれば、円の実質実効為替レートに依存している。一方日本の輸入は、日本の景気動向と海外の製品の国際競争力に依存しており、このうち後者は円の実質実効為替レートに依存している。実質実効為替レートが1%変化した場合の、パーセントで表示した輸出・輸入数量の変化は、それぞれ輸出数量の為替レート弾力性、輸入数量の為替レート弾力性とよばれている。実際の輸出入の分析では、価格要因に加えマクロ的な需要要因を考慮することが普通であり、日本からの輸出については海外のGDP(国債総生産)や日本を除く世界輸入に対する弾力性、輸入については日本のGDPや内需に対する弾力性が用いられる。