金を基軸通貨とした通貨制度で、各国が、自国通貨を一定のレート(金平価)で金と交換することを約束することで、自国通貨の国際的な貨幣価値を維持することを狙いとしている。各国通貨を金に結び付けことによって、固定為替相場制度を実現している。金との交換を約束しているため、各国は、金保有量の範囲内で貨幣を発行することになる。長所は、各国の通貨が金に結び付けられるので、為替レートは安定し、各国間の資本移動は活発になりやすい。また、貨幣発行額が金保有量に縛られるので、各国は放漫な金融政策を採ることが防がれ、インフレが生じにくい。さらに、貿易収支の自動調節機能が期待される。ある国の貿易収支が赤字になると、赤字国から黒字国へと金が流出し、金融引き締めで物価が下がるため、輸出が回復するというメカニズムが働く。短所は、世界の貨幣供給が、金の生産量のペースに縛られるので、経済成長のために必要な成長通貨を十分に供給できず、経済をしばしばデフレに陥れる。大恐慌(1929年)以降の不況が長引くにつれ、多くの国が金本位制を離脱するようになった。