1971年に、アメリカのニクソン大統領が、金とドルの交換停止を発表した措置をさす。各国がドルとの間で固定為替相場制を採用してきたブレトンウッズ体制は、金とドルの交換を前提として成立していたので、この措置をきっかけにブレトンウッズ体制は事実上崩壊した。73年以降、主要国は、為替レートが自由に変動する変動相場制へと移行した。金・ドル本位制との対比で、これ以降の通貨体制をドル本位制と呼ぶが、制度的な根拠があるわけではない。金の裏付けを欠いたドルの価値が不安定となり、基軸通貨の地位を失うのではないかという心配もあったが、基軸通貨の慣性効果によって、ドルはその後も基軸通貨としての地位を維持している。しかしながら、80年代以降、アメリカの経常収支赤字は恒常化し、86年に純債務国に転落するなど、アメリカの対外信用の下落は続いており、現在に至るまでドル価値は傾向的に下落している。昨今の中国との間の経常収支不均衡は、ドル本位制崩壊の危険性をはらんでいるとされ、先行きが注目されている。