基軸通貨国の不在が、1929年に起きた大恐慌以後の世界経済の不況の長期化をもたらしたという反省から、各国は44年にアメリカのブレトンウッズに集まり、第二次世界大戦後の国際通貨体制の枠組みが議論された。ドルは基軸通貨として、金1オンス=35ドルの固定レートで交換することを義務付けられた。一方、各国通貨は金との交換の義務を負わず、ドルとの固定レートで交換されることが取り決められた。アメリカがドル価値を金に固定する一方で、他の国は、各国通貨をドルの価値に固定する固定為替相場制を採用したので、この通貨体制を金・ドル本位制と呼ぶ。ドルという1国の通貨が基軸通貨になりえた背景には、当時、アメリカが世界の圧倒的な量の金を保有していたことと、多額の対外資産を保有する債権国であったという事実に由来する。金とドルを基軸通貨とする金・ドル本位制は、71年にアメリカのニクソン大統領が、金とドルの交換停止を発表するまで(いわゆる「ニクソン・ショック」)、続くことになる。