ある通貨が、いったん国際的に使われるようになると、多くの人々にとって、その通貨を利用することが便利になるため、ますます使われるようになる現象を指す。一般的には、ネットワーク外部性と呼ばれ、携帯電話やEメールなどの例にもみられるように、普及度が高まるほど、利便性が高まるという現象である。したがって、基軸通貨になったという事実が、基軸通貨としての地位を維持させることになり、多くの通貨が基軸通貨になりうる可能性を秘めていることを示唆している。基軸通貨国は、その経済的規模が国際的に縮小しても、かつてのポンドのように、通貨の国際的流動性は必ずしも比例的には縮小しない傾向があるが、この現象を慣性効果で説明できる。1971年に、アメリカのニクソン大統領は、金とドルの交換を停止する措置を発表し(いわゆる「ニクソン・ショック」)、それ以降、ドルは金の裏付けを欠くこととなったが、ドルの国際的流動性はそれほど下落することなく現在にいたっている。その理由としてよく言及される。