円の国際化とは、貿易や金融などの国際取引において、円の利用頻度が高まり、円の国際通貨としての地位が上昇することをさす。日本のGDP(国内総生産)の世界シェアは、8~10%であるのに対して、外貨準備に占める円建て資産のシェアは3~5%と低く、円の国際化が進んでいるとは言い難い。日本にとっての円の国際化のメリットとしては、次のような点があげられる。まず、国際取引において、円建て取引が増えて為替リスクが減少する。例えば、急激な円高で輸出企業が損害を受けることがなくなる。次に、海外の金融機関が円建ての金融商品を開発するインセンティブを持つので、高金利の金融商品が生まれる可能性がある。国内の低金利商品に塩漬けされている貯蓄は海外へ投資されることで、金融資産の収益率の向上に貢献する。外国政府が円資産を積極的に保有するようになり、日本国債を外貨準備として持つようになれば、政府の国債管理政策は選択肢が増える。