ギリシャ危機を機に、2010年6月、EU(欧州連合)の27の加盟国によって合意された、ユーロ圏諸国の信用不安国に融資することを目的とした基金のこと。各国政府が保証するEFSF債を発行して調達した資金を融資する。日本では欧州金融安定化基金、欧州金融安定ファシリティーなどとも呼ばれる。当初の融資規模は2500億ユーロであったが、4400億ユーロに拡大し、市場に出回る国債の買い支えや資本不足の銀行への資本注入にも使えるようになった。その後、11年にギリシャ危機はイタリアやスペインの財政危機へと飛び火し、このヨーロッパ債務危機(欧州債務危機)の対応策として、資金規模を4400億ユーロとしたまま、民間投資家が国債購入によって損失を被った時にEFSFが損失を穴埋めする債務保証方式と、IMF(国際通貨基金)や政府系ファンドが出資して設立した特別目的会社から資金を借り入れる方式を利用して、総額1兆ユーロ規模に資金供給の拡大を目指している。しかし、イタリアやスペインなどの大国が財政破たんした場合に備えようとすると、総額2兆ユーロ規模の資金が必要との見方がされている。13年に欧州版IMFとして、欧州安定メカニズム(ESM ; European Stabilization Mechanism)を立ち上げ、本基金の業務を引き継ぐことを目指したが、危機の深刻化により、立ち上げを12年7月に1年前倒しすることで合意した。