対外純資産とは、過去の経常収支黒字の和である。民間が保有している資産は統計上、「証券投資」と「直接投資」からなり、政府が保有している資産は「外貨準備」である。日本の対外純資産は、2009年度で266兆円であり、そのうち外貨準備は96兆円である。外貨準備は、経常収支の黒字で得た外貨が、民間による海外投資で世界市場に還流しなかったために、国内で蓄積した外貨を反映しており、この額が多いことは必ずしものぞましいことではない。なお、民間が保有している資産のうち、直接投資額の資産残高は70兆円程度(09年度)であるが、海外で再投資された額の正確な捕捉は難しく、過小評価であるといわれることが多い。日本の対外純資産の額は、11年末の段階で世界一であり、外貨準備は中国に次いで世界第2位である。また主要国の対外資産額を比較すると、中国は167兆円(09年)、ドイツは114兆円(10年)、イギリスは24兆円の赤字(10年)、イタリアは28兆円の赤字(10年)、フランスは29兆円の赤字(09年)、アメリカは252兆円の赤字(09年)である。