「金利」ではなく、貨幣供給の「量」を直接的にコントロールする金融緩和策をさす。政策金利が事実上ゼロに達した後、追加緩和策として採用されることが多い。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、2009年春に、3000億ドルの長期国債購入の見返りに市場に資金を供給する量的緩和第1弾(QE1)を導入している。さらに、10年11月に、総額6000億ドルの長期国債を購入する量的緩和第2弾(QE2)を実施している。2度にわたる量的緩和の結果、FRBの総資産は約2.8兆ドルとなり、08年秋の金融危機(→「世界金融危機」)前のおよそ3倍に膨らんでいる。また量的緩和によって、貨幣供給量が市場にあふれ、景気への押し上げ効果は小さかったと指摘される一方で、ガソリンなどの商品価格の高騰や、新興国の通貨高の原因を作ったと非難を浴びた。日本では、日本銀行が01年から06年にかけて採用している。景気・物価に対する刺激という点では、ほとんど効果を発揮しなかったとの見方が少なくない。政策金利を事実上ゼロ%に引き下げた後、どのような追加緩和策を取り得る余地があるかに関して、先進国の中央銀行にとって共通の課題になりつつある。