人民元と円を直接取引(交換)する取引。東京と上海の外国為替市場で2012年6月に開始。ロンドンやシンガポールなども同じく開始。人民元取引は、間にドルを介する取引が大半だった。直接取引ならば人民元を米ドルに交換し、そのドルを再び日本円に交換する二度手間も省け、2回の交換手数料も半分になりコスト削減に。また米ドルを持っている間に、ドル相場が変動すれば、為替変動リスクもあった。日中間の貿易や投資は巨額で、人民元や日本円を使うことで、国際的な流通量が増え、どちらも国際通貨としての実績や存在感を示せる。また、中国がドル抜きの取引を増やそうとするのは、アメリカの経済情勢や金融政策、外交戦略の影響を避けるため。直接取引は人民元を国際通貨にするための三段階の計画の一部。第一段階は、中国と国境を接する国々は14カ国あるが、そうした国々との国境貿易の決済に人民元を浸透。第二段階は、人民元をアジア地域の主要通貨に成長させるもので、3年前から少しずつ、貿易決済に人民元を使う範囲を拡大。今回、日本と中国の間で直接取引も開始させた。第三段階は、資本取引も許可し世界全域の通貨に発展させ、ドルのような基軸通貨をめざすという流れ。