2013年にユーロ圏のキプロス共和国で発生した金融危機。当時、キプロスは金融立国(オフショア金融センター)を目指しロシアなど海外からタックスヘイブン(租税回避地)として巨額の資金が集中、金融機関が巨大化していた。また、大半の住民がギリシャ系(ギリシャ語が公用語)で、ギリシャと深い関係にあった。このため、ギリシャ危機の影響で、キプロスの銀行の融資や債券投資に大きな損失(不良債権)が発生し、経営が悪化。EU(欧州連合)や国際通貨基金(IMF)に救済を要請するも、融資の条件として異例の銀行預金課税(預金者負担)を要求したため、大混乱となった。負担要求の背景には、銀行資産の約3分の1がタックスヘイブンを活用したロシアマネーで、マネーロンダリング(資金洗浄)の疑惑もあったとも伝えられる。最終的に、大手2銀行(キプロス銀行とライキ銀行)を整理・再編し、10万ユーロを超える大口預金者に破綻処理費用の負担を強制することとなった。