労働保険の一種。労働災害(業務災害または通勤災害)に遭った労働者やその遺族に対して、必要な保険給付を行うことを主な内容とする。根拠法は1947年に労働基準法と同時に制定された労働者災害補償保険法。労災保険の目的は、労働基準法に定める使用者の災害補償責任を保険化することにある。業務災害または通勤災害として療養(補償)給付や休業(補償)給付、遺族(補償)給付等の保険給付(なお、これらの保険給付には課税されない)を受けるためには、業務または通勤に通常伴う危険が具体化したといえることが必要となる。石綿ばく露による肺がんや中皮腫の発症は、その典型。単身赴任や副業に従事する労働者が増加する中、2006年4月には、住居と就業の場所との間の往復に加え、住居間の移動や就業の場所から就業の場所への移動についても通勤災害の適用を認める方向で、改正法が施行されたほか、07年の法改正では、労災保険法に定める労働福祉事業のうち、労働条件確保事業を廃止し、事業名を変更する等の措置が講じられている。なお、12年にシルバー人材センターの会員が請負契約に基づく就業中に負傷した事件をきっかけとして、労災保険法の適用が認められない就業中の負傷等については、健康保険を適用する方向で現在検討が進められている。