労働組合法(→「労働基本権」)が禁止する使用者の行為。(1)労働組合の正当な行為を理由とする解雇その他の不利益取り扱い、(2)正当な理由のない団体交渉の拒否、(3)労働組合の結成および運営に対する支配介入の3種類からなる。(1)には労働組合からの脱退を採用または雇用継続の条件とする黄犬契約の締結を含み、(3)には、便宜供与として認められる範囲を超える経費援助を含む。不当労働行為制度の目的は、労働組合の団結権等を保護し、労使関係の円滑化を図ることにある。労働組合法は、このような不当労働行為について、各都道府県に置かれた労働委員会が審査および救済(復職命令や団交応諾命令等)を行うこととしているが、労働委員会(初審)における係属事件は、一部の都府県に偏る傾向にある(2010年は934件中、東京都が426件、大阪府が170件、神奈川県が51件の順となっており、この3都府県だけで全体の7割近く〔69.3%〕を占める)。