外資導入により、1980年代、石油やパーム油などの1次産品中心の国であったマレーシアの中心へと成長した産業。対内直接投資に占める電気・電子産業の割合は依然として6割以上である。ASEAN(東南アジア諸国連合)域内の競争が激しさを増すなかで、マレーシアはその優位性を保持し続ける施策を継続してきた。マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC 情報通信産業の集積化をめざした国家プロジェクト)は2006年には発足10周年を迎えた。現行の第2期(04~10年)は、新たにコンテンツ産業の育成・強化をめざし、創造的地区の設立、知的財産権への資金援助、コンテンツ配信会社との戦略的提携などを目標とする。また、第9次5カ年計画では、シンガポールと国境を接するジョホール州のインフラを開発、サイバーシティーやロジスティクスの集積をめざす。ペナンの電気・電子産業クラスターでは技術革新もみられる。ただし、今後の飛躍は、独自技術の育成が十分でなければ難しい段階にさしかかっているとされる。