アジア諸国の産業政策の中で、多くの国が力を入れている分野。自動車産業は技術力の育成、すそ野産業の広さ、経済効果など、波及効果が大きく、基幹産業としての魅力が高い。ただし、産業規模が大きい分、産業基盤の総合力が試され、すべての国で成功するとは限らない。産業政策としては、輸入車の禁止や数量制限を実施、国内企業にさまざまな優遇措置を講じて国内市場と産業を保護育成するとともに、規制と優遇措置を使い分けながら外資導入や技術移転を図り、国内産業の基盤強化をめざす手法が一般的である。しかし1990年代以降、グローバリズムを背景に、企業は国境を越えた最適化、効率化が求められるようになり、一国で部品製造から完成車組み立てまでをまかなおうとする産業政策との摩擦も生まれている。ASEAN(東南アジア諸国連合)では、AFTA(ASEAN自由貿易地域)による単一市場形成を前提に、メーカーの生産拠点の再編と集約が顕著になっている。