東アジアを統合して地域共同体を創る構想。鳩山由紀夫首相が2009年10月にタイで開催された東アジアサミットで提唱した。それ以前、9月の日中首脳会談でもEU(欧州連合)をモデルとした創設提案を行っている。ベトナムは東アジア版EUとみるが、その性格については議論がある。しかし、サミットでは実現の具体策としてASEAN(東南アジア諸国連合)と日本、中国、韓国の東アジア諸国間における輸送・通信インフラの計画策定に向けた作業部会の設置、広域FTA(自由貿易協定)の早期締結が提案された。実現には、長期的にはアジア共通通貨が必要になると見られるが、その段階に進むにはかなりの歳月が必要となる。また、加盟国の枠組みも、中国が主導するASEAN+3(日本、中国、韓国)、日本の推すASEAN+6(日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)、さらにアメリカを含める考え方もあり、固まっていない。シンガポールは、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の枠組みを重視し、アメリカを抜きにした経済ブロックの形成については警戒を示している。また東アジア共同体が実現した場合、ASEANには共同体内の自由貿易の促進が所得格差を拡大するのではないかとの懸念があり、日中両国のイニシアチブに期待がある。日中の協力については環境分野などが考えられる。