中国沿海部が転換点を過ぎ、珠江デルタなどで人手不足が深刻化したために余儀なくされた最低賃金の引き上げ。ジェトロ通商弘報(2010年11月30日)によれば、10年の最低賃金引き上げ率は全国平均で23.9%。広州では860元から1100元へ、天津では820元から920元へ最低賃金が引き上げられた。中国沿海部での労働力不足が表面化したために、10年は賃上げを求める労働者のストが多発し、ホンダやトヨタなどはストの影響で工場が操業停止に追い込まれる事態となった。労使間のトラブルは06年の2倍の60万件に達した。賃上げストの背景には当局の黙認があるともいわれるが、労働運動の広がりを警戒し、監視強化に乗り出した。労働環境が変化した結果、1980年に始まり、2010年は30周年を迎えた深セン経済特区では、労働集約型から技術集約型産業への転換を迫られている。また、これまでの労働集約型産業は、労働力を求めて内陸部に移転、これに伴い西部開発が加速した。